七月の終わりから八月の頭にかけての出来事。

 

七月が終わった。

八月も半分終わってしまった。

六月が終わる時も、仕事の帰り道、駅に向かって歩きながら「ものすごい速さで六月が終わるな」と思っていた。

きっと八月も瞬きする間に終わるだろう。

 

 

 

 

出勤して掃除をして、朝礼が始まり朝礼が終わり、朝礼のために集まってた人たちが全員持ち場に戻ってしまいそこに私と同僚の二人だけが残り、私は同僚に「向こうを向いて」と言って立たされ、それに従った私の肩を掴んだ同僚が、「昨日、猫のお葬式をした」と言った。

同僚はその三日前に、「猫の具合が良くない」と言って早退した。休みの関係で同僚とは二日間会わなかったが、その間何も連絡がないのでたぶんそういうことだろうと思い、私からは連絡をしなかった。でも、もしかしたら夏バテとか、ちょっと疲れてしまっただけの可能性もあるし、そもそも、多少病弱だけどまだ六歳で、最近まで元気だったし、私は四年間、同僚にほぼ毎日猫の写真を見せてもらったり話を聞いていたのに、そんなに急に居なくなるなんてこと、ないでしょう、と。そんな不条理が、そうそうあるものか、と。あるのは知ってるけど、そんなには、ないでしょう、と。希望ではなく、ただそういう可能性があるということを考えて、三日過ごしていた。

なので、「お葬式をした」と言われた時、「大丈夫だった」みたいな連絡がないことで予想はしていたし、生き物はみんな死ぬというのは一応受け入れられる当たり前の出来事ではあるけど、でもあの子はこないだまで元気だったし、具合悪くなってからが急すぎるし、でも他ならぬ飼い主の同僚が言うのなら、やっぱり本当なんだろうし、しかももうお葬式までしたってことは、つまり、やっぱり死んじゃったということなんだな、と。頭で理解できた。

 

私は泣いてしまったが、同僚が泣いていないのに、私が泣き続けるのも変な話しだと思い、できるだけそのことは考えないように、泣かないように努力して、その日は過ごした。でも、働きながらも時々あの子がもう居ないのだということを思い出すと、やっぱりまだ不思議に思う気持ちが一瞬だけ湧いて、その後すぐに悲しくて泣きそうになった。思い出す、泣きそうになるのを我慢する、思い出す、また我慢するを何度も繰り返してるうちに、就業した。

 

帰って母にも亡くなったことを伝えた。

 

 

 

先週、同僚から「あの子から」と言ってお中元をもらった。うちの子に猫用おやつ、私にもお菓子が入っていた。

猫用おやつは、うちの三匹が毎日分け合って食べてる。

 

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